公開: 2021年10月19日
更新: 2021年10月19日
情報隠ぺいの概念は、1972年にパーナスが発表した論文で提案したものである [Parnas, 1972]。パーナスは、良いソフトウェアと言われているソフトウェアの特徴がそれらの「保守のし易さ」にあることを突き止め、それらの良いと言われているソフトウェアに共通したプログラミング上の性質があることを発見した。その性質をパーナスは「情報隠ぺい」と名付けた。その性質は、個々のプログラムが「どのように処理をしているか」が詳細に説明されていることよりも、「どんな処理をするためのものか」を分かり易く説明するため、どの変数が入力になっており、どの変数が出力になっているのかを明確にして、計算の詳細を可能な限り隠すことが重要であるとした。特に、他のプログラムにおいても参照され、値が代入される大域変数を使うことが危険であるとした。この情報隠ぺいの概念と、オブジェクト指向設計で重要とされるカプセル化の概念は、理論的には同じことを言っている。
ParnasL.D. "On the criteria to be used in decomposing systems into modules". Communications of ACM, vol. 15(1972).